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BACK STORY

 

 ボイス ドラマの元と成った設定等です。

 

ダンタリオン ダンスは程々に……】の話より、台詞をアレンジ

  フリーでボイスコーポレーター(ネット声優)活動をされいる、

  一条 織 -ichijo shiki- 様 によるソロ ボイスドラマ。

「ね~、そこの執事さ~ん。ストキングを上げて下さるかしら~? アハハ~♪」

「拒否致します」

「こら! ダメ執事~。め~ッと鳴け!」

「め~ッ(棒読み)」

          *

 

 

「ね~、心が死んで行くのが分かるわ~」

 長い灰髪の美しい少女がそう呟く。

「はい、お嬢様」

 漆黒のスーツ姿の執事風紳士が応え、午後3時の紅茶をティーカップに注ぐ。

「無性にダンタリオン ダンスが、踊りたい気分なのよ」

 灰髪美少女は意味不明な言葉を発してから、ティーカップを左手の親指と人差指で摘み、一口だけ紅茶を飲む。

「お嬢様、ダンタリオン ダンスは程々に……。あれは大変ハシタナイ ダンスに御座います」

 執事風紳士はニッコリと微笑んでから、少女を窘(たしな)める。

 この邸宅では、気怠(けだる)い午後の一刻によく見る光景だ。

 

 

 灰髪美少女こと【高梨 瑠美奈(たかなし るみな)】は、胸元が必要以上に強調された、スカート丈が極短の赤いドレス姿で、赤いガーターストキングを履いている。

 髪の毛は灰色のストレートで、膝位の長さが在る。

 容姿が美しいので、それも似合ってはいるのだが、17歳の少女が普段から着る格好としては、少々セクシー過ぎる。

 

 漆黒のスーツ姿の執事風紳士こと【氣道 Huffman(きどう ハフマン)】は、少し前に執事の仕事を起こしたばかりの、27歳の自称実業家である。

 彼の仕事のコンセプトは、パートタイムの執事である。

 そして、初めての顧客と成ったのが高梨 瑠美奈である。 それは、本当に運の悪い出来事である。

 

 

 瑠美奈嬢の趣味は、読書である。本の虫である。

 けれども、そのジャンルが悪い。最悪である。

 また、彼女は大変な美食家であるが、それ故、日々悪食を繰り返す。

 見た目の美しさとは対照的に、中身は何者よりも悍(おぞま)ましい、魔性の女と云えよう。

 彼女は、快活でよく笑う。そう、化け物がそうする様に、悪魔がそうする様に。

 歌やダンスにも長けており、奇声を発っし、骨格などは無視した奇抜なダンスを好んで踊る。

 異性の心を惑わし、誘惑する。

 そして、何もかもを奪い、代わりに終わる事の無い絶望を与える。

 彼女は、超越者であるが故に寛大である。

 不老にて、美しくも露出狂の、殺しても死なない、八つ裂きをこよなく愛する、汚れしか知らない、お嬢様である。

 彼女と出会う事は不幸である。関わる事は悲劇である。

 

「ねぇ、踊りましょう? ラ~ラ~ラ~♪ けッ、けへ、キエヘルルレレレレレレレレ~ッ♪」

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